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2013年7月31日

労働契約法の改正について

 

1.はじめに

 労働契約法は,労働契約の基本的な理念及び労働契約に共通する原則や,判例法理に沿った労働契約の内容の決定及び変更に関する民事的ルール等,労働契約に関する基本的なルールを定めた法律です。
 今般,労働契約法に,有期労働契約(期間の定めのある労働契約をいう。以下同じ)に関する3つの規定が新設されました。そこで,改正の概要と実務上の問題点について説明します。

 

2.改正の概要

(1)有期労働契約の無期労働契約への転換(改正後労働契
  約法(以下「法」)18条)
   同一の使用者との間で有期労働契約が5年を超えて反
  復更新された場合は,使用者がその申込みを承諾したも
  のとみなされ,無期労働契約が成立することについて定
  めた規定です。これは,有期契約の濫用的利用を抑制
  し,有期契約労働者の雇用の契約を図るものとして設け
  られたものです。
   「同一の使用者」かどうかは,契約締結の法律上の主
  体(法人であれば法人単位)で判断されます。ただし,
  使用者が,就業実態が変わらないにもかかわらず,無期
  労働契約への転換を免れる目的をもって,派遣形態や請
  負形態を偽装して,労働契約の当事者を形式的に他の使
  用者に切り替えた場合は,法を潜脱するものとして,通
  算契約期間の計算上「同一の使用者」との労働契約が継
  続しているものと解されます。
   また,契約期間の通算の例外(クーリング)が定めら
  れています。クーリング期間は,離職した有期契約労働
  者が再度同じ企業で働くことが事実上困難になり,労働
  者の職業選択の幅が過度に狭められてしまうことを防ぐ
  ために設けられたものです。

(2)雇止め法理の法定化(法19条)
   有期労働契約の雇止めについて,一定の場合に解雇権
  濫用法理を類推適用して雇止めを無効とする判例法理
  (いわゆる雇止め法理)を制定法化した規定です。これ
  は,有期労働契約の更新等に関するルールを明らかにす
  ることで,雇止めに係る紛争を防止するとの観点から設
  けられました。
   具体的には,①有期労働契約が反復して更新されたこ
  とにより,雇止めをすることが解雇と社会通念上同視で
  きると認められる場合,又は②労働者が有期労働契約の
  契約期間の満了時にその有期労働契約が更新されるもの
  と期待することについて合理的な理由が認められる場合
  に,使用者が雇止めをすることが,客観的に合理的な理
  由を欠き,社会通念上相当であると認められないとき
  は,雇止めは認められず,従前の有期労働契約と同一の
  労働条件(契約期間を含む)で有期労働契約が成立しま
  す。

(3)期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
  (法20条)
   有期契約労働者の労働条件と無期労働契約者の労働条
  件が相違する場合に,その相違が,期間の定めがあるこ
  とにより,不合理と認められるものであってはならない
  ことを定めた規定です。
   対象となる労働条件は,賃金や労働時間等の狭義の労
  働条件だけでなく,労働契約の内容となっている災害補
  償,服務規律,教育訓練,付随義務,福利厚生など,労
  働者に対する一切の待遇が含まれます。
   労働条件の相違が不合理と認められるかどうかは,
    ①職務の内容(業務の内容及び当該業務に伴う責任
     の程度)
    ②当該職務の内容及び配置の変更の範囲
    ③その他の事情
   を考慮して,個々の労働条件ごとに判断されます。
   とりわけ,通勤手当,食道の利用,安全管理などにつ
  いて労働条件を相違させることは,上記①~③を考慮し
  て,特段の理由がない限り,合理的とは認められないと
  解されます。

(4)施行期日
   (2)の雇止め法理の法定化の規定は,平成24年8
  月10日から施行されています。(1)の無期労働契約
  への転換,(3)の不合理な労働条件の禁止について
  は,平成25年4月1日から施行されます。

 

3.実務上の影響

(1)有期労働契約の無期労働契約への転換(法18条)
   多くの企業では,無期契約の正社員を基幹労働者と位
  置づけています。しかし,解雇規制等が厳しく,人件費
  負担も重く,すべての従業員を正社員として雇用するこ
  とができないことから,業務量の変動や人件費コストの
  抑制等に対応するための労働力として有期契約者を活用
  してきたのが現状です。今回の無期労働契約への転換ル
  ールは,こうした有期契約の活用を5年以内とするもの
  です。そこで,企業としては,これまでの有期契約者の
  制度・運用を見直し,有期と無期契約者の処遇を明確に
  して,積極的な活用を図ることが必要となるでしょう。
  例えば,あらかじめ通算契約期間の上限を5年以内で定
  めて有期契約者を雇用し,上限で契約を終了させ,6か
  月のクーリング基幹を設ける取扱いにより労働力の需給
  調整等に対応し,一方で正社員あるいは新たな無期契約
  者の処遇ルートを定め,有期契約者を対象に登用の機会
  を付与して,必要な人材を確保するとういうものです。

(2)雇止め法理の法定化(法19条)
   判例法理を制定化したことにより,実務の取扱いが明
  確になりますが,具体的な解釈適用は,これまでの判例
  及び累積した裁判例に照らして行われることになりま
  す。

(3)期間の定めがあることによる不合理な労働条件の禁止
  (法20条)
   法20条違反の法的効果としては,同条により不合理
  とされた労働条件は無効となり,故意・過失による権利
  侵害,すなわち不法行為として損害賠償請求ができると
  考えられます。
   さらに,不合理とされた労働条件の定めが無効となっ
  てしまった後,その無効となった労働条件の部分はどう
  なるのかということが問題となります。この点について
  は,補充すべき労働条件が内場合には,無効となった部
  分について補充的な解釈をすることによって解決が図ら
  れることになると思われます。例えば,就業規則で正社
  員については通勤手当を支給するとすれば,正社員に限
  定した部分が無効となり,従業員には通勤手当を支給す
  るというように契約が修正されて解釈・適用されること
  になるでしょう。

 

4.おわりに

 今回の法改正は、企業経営にとって厳しい面があります。企業側には,有期労働契約の契約社員,パート社員,アルバイト社員について,認められた5年間とういう期間の間で,長期的に雇用してもよい人材がどうかの見極めが重要になってきます。
 今後,労使間において新しい有期労働契約労働者の処遇のあり方,企業における雇用システムのあり方について,再検討をしていく必要があるものと思われます。

 

弁護士 金子 昌稔

 

2013年7月31日

未収金回収

 

 会社には未回収の売掛債権、家主には未収家賃等の不良債権化しかかった債権が存在するものです。何度も請求書を送付しても支払ってくれず、電話すれば「わかったわかった」と調子のいい返事をするものの一向に支払いはなく、そのうち電話にも出なくなり、次に違う電話番号で電話してみるのですが、やはり2回目から出なくなります。会社としては、これがストレスになりますし、金額が大きくなると資金繰りを悪化させます。

 通常の取引債権の時効消滅期間は比較的短く1~3年です。会社において、時効を主張されたら困るからと、毎月のように請求書を送り続けて時効期間の進行を止める努力をされている旨をよく耳にします。しかし、請求書を送り続けているからといって時効が中断するわけではありません。催告後6カ月以内に裁判上の請求をする必要があるので、実務では、時効期間内に内容証明郵便で催告し、支払いや回答がなければ、半年以内に裁判手続きに着手します。消滅時効期間が過ぎているケースでは少々テクニックを使います。

 実際に裁判手続きとなると、会社自身で行うことは、手間で時間を要しますし、専門家に頼めば、着手金が必要で、回収できなければ、結果といて費用だおれになります。とりわけ少額債権であればなおさらです。

 仮に、着手金が必要なく、回収できた金額の幾らかが報酬となり、回収できなければ報酬が発生しないということで受託してくれる専門家がいたら助かるのではいでしょうか。

 140万円以下の債権回収については司法書士は代理人として交渉も裁判もできます。売掛金や家賃債権の多くは事実関係に争いがないので、忙しい弁護士の手を煩わす必要もないとも言えます。そこで、DEPSパートナー司法書士は、140万円以下の債権回収につき、着手金なく、実際の回収ベースでの成功報酬での受託することを用意しました。一つの債権から大量債権でも対応可能です。なお、140万円を超える債権の回収を行う代理人は、弁護士でなければなりません。詳細はDEPSまでお問い合わせください。

 

司法書士 島本章生

 

2013年7月31日

著作権法の改正について

 

 「著作権法の一部を改正する法律」が、平成24年6月20日に成立し、その一部が平成24年10月1日に施行されました。
 著作権法については毎年のように改正が行われていますが、今回の改正は「違法ダウンロードの刑事罰化」や「暗号化されたDVDのコピー禁止」といった、私たちにとっても身近な問題を含んでいます。そこで、今回の改正内容の中から、特に注目すべき項目について説明します。

 

1.私的使用目的の複製

 音楽や映像などの著作物は、原則として権利者の許諾なく複製(コピー)することはできませんが、その例外として、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する場合については、複製することが許されています(著作権法第30条)。これを「私的使用目的の複製」といいます。
 例えば、テレビ番組を録画機器を用いて録画する行為や、レンタルしたCDを別の媒体にダビングする行為などは、個人的に又は家庭内という限られた範囲内で使用するものである限り、この例外規定により許されるわけです。

 

2.私的使用目的の複製の問題点

 しかしながら、近年のインターネットの普及、大容量化により、音楽や映像作品が携帯電話等に向けてダウンロード配信されるケースが多くなってきました。このようなダウンロード配信の中には、正規に配信されたものではなく違法配信によるものも多く、既に違法配信サイトやファイル交換ソフト等の違法配信による市場が、正規の配信市場を上回る膨大な規模になっていると考えられています。このような違法配信に対しては、権利者団体等により違法配信を行っている者に対して警告等の対処がなされていますが、量が多く技術的にも限界があります。
 ところで、ダウンロードして複製する個人側の行為は、違法配信サイトからのものであっても、上記の私的使用目的の複製であれば許されるのでしょうか。この点について、平成21年の著作権法改正では、違法配信する側だけではなく、違法配信サイトから音楽や映像をダウンロードして複製する個人側の行為についても違法とする改正がなされました。ただし、違法ではあっても罰則規定がなかったため、その実効性に疑問が持たれており、依然として違法な音楽等の流通量は減少せず、コンテンツ産業に大きな被害が生じていると考えられています。
 また、通常DVDには暗号化されたコンテンツが記録されており、自分で購入・レンタルしたDVDであっても、そのままではコピーすることができないようになっています。しかし、現在では数多くの暗号化解除プログラムが出回っており、暗号化されたコンテンツを復元しDVDをコピーすること(リッピング)が可能となっています。従来から、一定の技術的保護手段(信号付加方式)を回避してコピーすることは違法とされていますが、DVDの暗号化技術は、違法となる技術的保護手段に含まれていませんでした。そのため、著作権者等の利益が不当に害されているとの指摘がありました。

 

3.法改正の内容

 以下に、今回の法改正の中から「違法ダウンロードの刑事罰化」と「暗号化されたDVDのコピー禁止」について詳細を説明します。なお、著作権侵害となるかどうかについては、その行為が「適法な行為」、「違法であるが刑事罰のない行為」、「違法であって刑事罰のある行為」のいずれに該当するのかを検討する必要があります。刑事罰には該当しなくても、違法である場合がありますので、その点にご注意ください。

(1)違法ダウンロードの刑事罰化
   従来から違法であった、違法配信サイトから音楽や映
  像をダウンロードして複製する個人側の行為について、
  罰則が規定されました。すなわち、以下の行為は、私的
  使用目的の複製であっても例外範囲とはならず、違法と
  なるだけでなく刑事罰の対象となります。

 (対象となる行為)
   私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権等を
   侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の
   録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著
   作権等を侵害する行為

 (罰則)
   2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又は
   これの併科

 (留意点)
  ①有償著作物等
   ・CDやDVDとして販売されていたり、有料でイン
    ターネット配信されているような音楽作品や映画作
    品が挙げられます。
   ・ドラマ等のテレビ番組については、DVDとして販
    売されていたり、オンデマンド放送のように有料で
    インターネット配信されていたりする作品の場合
    は、有償著作物等に当たりますが、単にテレビで放
    送されただけで、有償で提供・提示されていない番
    組は、有償著作物等には当たりません。ただし、違
    法にインターネット配信されているテレビ番組をダ
    ウンロードすることは、刑事罰の対象ではないもの
    の違法になります。

  ②自動公衆送信
   ・自動公衆送信とは、「公衆送信(公衆によって直接
    受信されることを目的として送信を行うこと)のう
    ち、公衆からの求めに応じて自動的に行うもの」で
    す。
   ・友人が送信したメールは自動公衆送信に該当しませ
    んので、メールに添付されたファイルをダウンロー
    ドする行為は含まれません。(ただし、個人的に又
    は家庭内という範囲を超えると判断されて、違法と
    なる可能性はあります。)

  ③録音又は録画
   ・違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたり
    するだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違
    法ではありません。
   ・「You Tube」などの動画投稿サイトで違法投
    稿された動画を閲覧する場合(ストリーミング)
    は、視聴するデータがコンピュータ内部に一時的に
    保存されることがあります。このような情報の一時
    的な蓄積(キャッシュ)は、違法サイトからダウン
    ロードして複製する行為とも考えられますが、この
    点については、「情報処理を円滑かつ効率的に行う
    ために必要と認められる限度」として、別の例外規
    定(著作権法第47条の8)により違法とはされて
    おりません。ただし、キャッシュによる一時的な蓄
    積ではなく、別の記録媒体に保存したりするような
    場合は、違法となり罰せられます。
   ・画像ファイルのダウンロードやテキストのコピー&
    ペーストは、録音又は録画に該当せず、私的使用に
    留まる限りは違法ではなく、刑事罰の対象になりま
    せん。

  ④その事実を知りながら
   ・有償著作物であること、及び違法な配信であること
    の両方を知っていた場合であるので、有償著作物で
    あることを知らなかった場合や、違法サイトと知ら
    ずにダウンロードして複製する行為は除外されてい
    ます。
   ・そのダウンロードサイトが違法かどうかは判断しに
    くいケースも多いものと考えられますが、コンテン
    ツを適法に配信しているサービスに対し、一般社団
    法人日本レコード協会が「エルマーク」と呼ぶ認証
    のロゴを付与しており、一応の目安となります。
    (ただし、「エルマーク」の表示されていないから
    といって、全て違法配信ということではありませ
    ん。)

  ⑤親告罪
   ・親告罪ですので、コンテンツ配信業者など被害を受
    けた側の告訴が必要です。

(2)暗号化されたDVDのコピー禁止
   従来は違法とはされていなかった、暗号化されたコン
  テンツを復元しDVDをコピーする行為(リッピング)
  が違法となりました。ただし、罰則は規定されていませ
  ん。すなわち、以下の行為は、私的使用目的の複製であ
  っても例外範囲とはならず、違法となります。

 (対象となる行為)
   技術的保護手段(暗号化)により保護されたコンテン
   ツを、技術的保護手段の回避により複製する行為

 (罰則)
   なし

 (留意点)
  ①技術的保護手段
   ・DVDに用いられる「CSS」などの暗号化技術に
    よるコピー防止機能をいいます。

  ②技術的保護手段の回避
   ・暗号化技術によるコピー防止機能を回避する装置や
    プログラムを用いて行うものです。

  ③複製
   ・購入・レンタルした映画などのDVDを空のDVD
    にコピーしたり、スマートフォンやタブレット端末
    に取り込む行為をいいます。
   ・一般的に音楽CDにはコピー防止機能が施されてい
    ませんので、個人的な利用の目的であれば、音楽C
    Dを自分のパソコンや携帯音楽プレーヤーなどに複
    製しても、違法ではありません。
   ・DVDに限らず、適法なダウンロード配信によりパ
    ソコンに保存した映像を別のタブレット端末等にコ
    ピーする場合であっても、技術的保護手段を回避し
    て行うものであれば違法と考えられます。

  ④技術的保護手段を回避する装置やプログラムの譲渡等
   ・技術的保護手段を回避する装置やプログラムを公衆
    に譲渡等した者や、業として公衆からの求めに応じ
    て技術的保護手段の回避を行った者には刑事罰が科
    せられます。

 

4.その他

・今回の法改正のうち、「違法ダウンロードの刑事罰化」に
 ついては、国会の審議過程において、内閣提出法案に対
 し、刑事罰化に関する議員修正案が提出され、それからわ
 ずか5日で可決成立されたものであり、審議期間の短さ
 や、権利者団体側の意向ばかり反映されているなどの問題
 点が指摘されています。また、インターネットの利用行為
 が不当に制限されるとの指摘もあります。
・そのため、違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の運用
 に当たっては、政府及び関係者は、インターネットの利用
 行為が不当に制限されることのないように配慮しなければ
 ならないこととされています。
・また現在は親告罪ですが、今後TPPなどの交渉過程で非
 親告罪化について協議される可能性があります。
・さらに、捜査機関によるパソコンやスマートフォンの押収
 など、捜査権の濫用に繋がるような事態も懸念されます。
・従って、警察は捜査権の濫用につながらないように配慮す
 るとともに、関係者である権利者団体には、仮に告訴を行
 うのであれば、事前に然るべき警告を行うなどの配慮が求
 められます。
・一方、今回の法改正をきっかけに、コンテンツ配信会社の
 中には、コピー制限を解除し、メーカーの違う機器への自
 由な転送を許可することで、コンテンツ配信市場の拡大を
 狙う企業も現れてきています。

 

弁理士 信末 孝之

 

2013年7月31日

ゴルフ会員権譲渡所得に係る取得費の取扱いについて

 

 国税庁はこのほど、ゴルフ会員権を譲渡されたときの譲渡の収入金額から控除する取得費についての取り扱い変更を発表しました。預託金会員制ゴルフ会員権が、会社更生法に基づく更生計画の更生手続きなどで預託金再建の全額を切り捨てられ、優先的施設利用権(プレー権)だけとなったときで一定の状況にある場合は、譲渡時の取得費を「更生手続等前の預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときの優先的施設利用権部分に相当する取得金額」にするというものです。

 預託金会員制ゴルフ会員権とは、プレー権と預託金返還請求権をその内容とする契約上の地位を示します。この会員権が自主再建型の再建が行われたゴルフクラブのものだった場合、譲渡した際の譲渡所得の金額の計算で譲渡の収入金額から控除する取得費は、①会社更生法に基づく更生計画による更生手続等で預託金債権の一部だけを切り捨てられた場合には、切り捨てられた損失の金額は認識せず、取得価額から減額(付け替え)しない額、②預託金債権の全額を切り捨てられた場合には、更生手続等で取得したプレー権だけのゴルフ会員権の時価相当額――として取り扱われてきました。

 この②について、一定の状況に当てはまる場合は、預託金会員制ゴルフ会員権を取得したときのプレー権部分に相当する取得金額に取り扱うように変更されました。ここでいう一定の状況とは、「当該更生計画などの内容から、プレー権が会員の選択などにかかわらず、当該更生手続等の前後で変更がなく存続することが明示的に定められていること」「プレー権だけのゴルフ会員権になるときに、新たに入会金の支払いがなく、かつ、年会費など納入義務等を約束する新たな入会手続が執られていないこと」といった事情などを総合勘案し、更生手続などの前後で変更なく存続して同一性を有していると認められる場合のことです。

 新たな取り扱いは遡及適用でき、取り扱いの変更を知った日の翌日から2ヵ月以内に所轄税務署に更正の請求をすることで、納め過ぎた所得税が還付されます。ただし、法定申告期限等からすでに5年を経過している年分の所得税については減額できません。

 広島県内のゴルフ場でも、預託金全額が切り捨てられ、プレー権のみお持ちになっている方も多いのではないでしょうか。従来、その取得費は新たに支払いをした金額のみだったのが、この改正により、従来支払ったプレー権に相当する入会金の金額を認めてくれることになりました。条件等ありますが、5年以内に売却したゴルフ会員権で該当するものがあれば、2ヵ月以内に更正の請求をすることができます。

(参考:エヌピー通信社)

 

税理士 光廣 昌史

 

 

2013年7月26日

労働組合法上の労働者概念について

 

1.労働組合法上の労働者概念について検討する意義

 近年,労働者の働き方が多様化する中で,業務委託・独立自営業者といった就労形態(いわゆる個人事業主)が増加しています。こうした形態は,人件費の抑制・削減を図ることができ,また様々な労働法規制を回避できることから,企業側にはメリットがあります。
 他方,こうした背景のもと,個人事業主が労働組合を結成して労務供給の諸条件や契約の打切りについて団体交渉を求めたところ,労働者ではないとして団体交渉を拒否され,紛争にいたる事態が生じています。
 労働組合法3条で定義される「労働者」に該当するか否かについて判断が困難な事例が多い中で,確立した判例が存在しなかったこともあり,このような紛争を取り扱った労働委員会の命令と裁判所の判決で異なる結論が示され,法的安定性の点から問題となっていました。
 昨年の4月に,最高裁判所において,労働組合法3条の「労働者」にあたるかという点につき,2つの判決がなされました。そこで,今回は,上記最高裁判所の判例が与える影響と企業の価値を守る際の注意点についてお話します。

 

2.労働組合法上の労働者概念の基本的な考え方

 法律上の「労働者」については,労働基準法9条,労働契約法2条1項,労働組合法3条に定義規定が設けられています。同じ「労働者」の語句が用いられていますが,各法律における労働者概念は一致するわけではありません。
 労働基準法9条は,「この法律で『労働者』とは,職業の種類を問わず,事業または事務所(以下「事業」という。)に使用される者で,賃金を支払われる者をいう。」と規定されています。労働基準法は,職場における労働条件の最低基準を定めることを目的としていますので,労働基準法上の「労働者」は,労働基準法が定める労働条件による保護を受ける対象を確定するための概念として規定されています。
 また,労働契約法2条1項は,「この法律において『労働者』とは,使用者に使用されて労働し,賃金を支払われる者をいう。」と規定しています。労働契約法は,労働契約の基本的な理念及び労働契約の成立や変更等に関する原則を定めることを目的としていますので,労働契約の当事者として労働契約法が定める労働契約の法的ルールの適用対象となる者を確定するための概念として規定されています。
 他方,労働組合法3条は,「この法律で『労働者』とは,職業の種類を問わず,賃金,給料その他これに準ずる収入によって生活する者をいう。」と規定されています。労働基準法及び労働契約法と比較すると,労働組合法の「労働者」の定義には,「使用され」という要件が入っていません。したがって,失業者であっても「労働者」に該当し,労働組合法の保護を受ける職業別労働組合や産業別労働組合等の構成員になることができます。
 また,労働組合法は,「労働者と使用者との交渉において対等の立場に立つことを促進することにより労働者の地位を向上させること」を主旨としています。そうした労使対等の交渉を実現するために,団体行動権の保障された労働組合の結成を擁護し,労働協約の締結のための団体交渉を助成することを目的としています。
 そうすると,労働組合法の労働者は,主体となって労働組合を結成する構成員として,使用者と間で団体行動権の行使を担保した団体交渉法制による保護が保証されるべき者を指すことになります。
 したがって,労働組合法における労働者は,団体交渉の助成を中核とする労働組合法の趣旨に照らして,団体交渉法制による保護を与えるべき対象という視点から検討されることになります。

 

3.労働組合法上の労働者の判断基準

(1)判断基準
 労働組合法の趣旨等を踏まえると,労働組合法上の「労働者」は,売り惜しみのきかない自らの労働力という特殊な財を提供して対価を得て生活するがゆえに,相手方との個別の交渉において交渉力に格差が生じ,契約自由の原則を貫徹しては不当な結果が生じるため,労働組合を組織し集団的な交渉による保護が図られるべき者が幅広く含まれると解されています。
 そこで労働組合法上の労働者は以下の判断要素を総合勘案して労働組合法の趣旨から労働者性を判断することとなります。
 基本的な判断要素は,①事業組織への組み入れ,②契約内容の一方的,定型的決定③報酬の労務対価性です。
 補充的な判断要素は,④業務の依頼に応ずべき関係,⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,一定の時間的場所的拘束です。
 消極的要素は,⑥顕著な事業者性です。

(2)各判断要素の意義と具体例
 ア 基本的判断要素
  ①事業組織への組み入れ
    これは,相手方の業務遂行に不可欠ないし枢要な労
   働力として組織内に確保されており,労働力の利用を
   めぐり団体交渉によって問題を解決すべき関係がある
   ことを示す要素です。
    肯定的に解される事情の具体例は,以下のとおりで
   す。

   ◯契約の目的
    ・契約の形式にかかわらず,相手方と労務供給者の
     契約が,労働力を確保する目的で締結されている
   ◯組織への組み入れの状況
    ・業務の遂行の量的ないし質的な面において不可欠
     ないし枢要な役割を果たす労働力として組織内に
     位置づけられている
    ・評価制度や研修制度を設ける,業務地域や業務日
     を割り振るなど,相手方が労務供給者を管理して
     いる
    ・人手が不足したときは他の事業者にも委託する
     が,通常は労務供給者のみに委託している
   ◯第三者に対する表示
    ・相手方の名称が記載された制服の着用,名刺,身
     分証の携行等が求められているなど,第三者に対
     して相手方が労務供給者を自己の組織の一部とし
     て扱っている
   ◯専属性
    ・相手方から受託している業務に類似する業務を,
     契約上他の相手方から受託することができない
    ・相手方から受託している業務に類似する業務を他
     の相手方から受託することについて,契約上設定
     されていた権利義務としては制約がないが,当事
     者の認識や契約の実際の運用上は制約があり困
     難である
    ・相手方から受託している業務に類する業務につい
     て,他の相手方との契約関係が全く又はほとんど
     存在しない

  ②契約内容の一方的,定型的決定
    契約の締結の態様から,労働条件や提供する労務の
   内容を相手方が一方的・定型的に決定していること
    これは,相手方に対して労務供給者側に団体交渉法
   制による保護を保障すべき交渉力格差があることを示
   す要素です。
    肯定的に解される事情の具体例は,以下のとおりで
   す。

   ◯一方的な労働条件の決定
    ・契約締結や更新の際に,労務供給者側が相手方と
     個別に交渉して,労働条件等 の契約内容に変更
     を加える余地が実際にない
    ・労働条件の中核である報酬について,算出基準,
     算出方法を相手方が決定している
   ◯定型的な契約様式の使用
    ・相手方と労務供給者との契約に,定型的な契約書
     式が用いられている

  ③報酬の労務対価性
    労務供給者の報酬が労務供給に対する対価又はそれ
   に類するものとしての性格を有すること
    これは,労働組合法第3条の労働者の定義規定の文
   言上明示された「賃金,給料その他これに準ずる収
   入」に対応した要素であり,労務供給者が自らの労働
   力を提供して報酬を得ていることを示す要素です。
    肯定的に解される事情の具体例は,以下のとおりで
   す。

   ◯報酬の労務対価性
    ・相手方の労務供給者に対する評価に応じた報酬金
     等,仕事の完成に対する報酬とは異なる要素が加
     味されている
    ・時間外手当や休日手当に類するものが支払われて
     いる
    ・報酬が業務量や時間に基づいて算出されている
   ◯報酬の性格
    ・一定額の支払いが保証されている
    ・報酬が一定期日に,定期的に支払われている

 イ 補充的判断要素
  ④業務の依頼に応ずべき関係にあること
    これは,労務供給者が相手方からの個々の業務の依
   頼に対して,基本的に応ずべき関係にあること
    具体的な判断にあたっては,契約書の記載や契約上
   設定された法的義務の存否のみに限定せず,各当事
   者の認識や契約の実際の運用を重視すべきであるとさ
   れています。
    肯定的に解される事情の具体例は,以下のとおりで
   す。

   ◯不利益取り扱いの可能性
    ・契約上は個別の業務依頼の拒否が債務不履行等を
     構成しなくても,実際の契約の運用上,労務提供
     者の業務依頼の拒否に対して,契約の解除や契約
     更新の拒否等,不利益な取り扱いや制裁の可能性
     がある
   ◯業務の依頼拒否の可能性
    ・実際の契約の運用や当事者の認識上,労務契約者
     が相手方からの個別の業務の依頼を拒否できない
   ◯業務の依頼拒否の実態
    ・実際に個別の業務の依頼を拒否する労務供給者が
     ほとんどそんざいしない。または,依頼拒否の事
     例が存在しても例外的な事象にすぎない

  ⑤広い意味での指揮監督下の労務提供,一定の時間的場
   所的拘束
    労務供給者が,相手方の指揮監督の下に労務の提供
   を行っている解することができること,労務の提供に
   あたり日時や場所について一定の拘束を受けているこ
   と肯定的に解される事情の具体例は,以下のとおり
   です。
   ◯労務提供の態様についての詳細な指示
    ・通常の委託契約における業務内容の指示ないし指
     図を超えて,マニュアル等により作業手順,心構
     え,接客態度等を指示されている
    ・相手方から指示された作業手順等について,事実
     上の制裁があるなど,労務供給者がそれらを遵守
     する必要がある
    ・業務を相手方の従業員も担っている場合,当該業
     務の態様や手続きについて,労務供給者と相手方
     従業員とでほとんど差異が見られない
    ・労務の提供の態様について,労務供給者に最良の
     余地がほとんどない
   ◯定期的な報告等の要求
    ・労務供給者に対して業務終了時に報告を求める
     等,労務の提供の過程を相手方が監督している
   ◯労務供給者の裁量の余地
    ・業務量や労務を提供する日時,場所について労務
     供給者に裁量の余地がない
   ◯出勤や待機等の有無
    ・一定の日時に出勤や待機が必要である等,場所に
     ついて労務供給者の行動が拘束されることがある
   ◯実際の拘束の度合い
    ・労務供給者が実際に一定程度の日時を当該業務に
     費やしている

 ウ 消極的判断要素
  ⑥顕著な事業者性
    労務供給者が,恒常的に自己の才覚で利得する機会
   を有し自らリスクを引き受けて事業を行う者ではない
   こと
    以下のような事情がある場合には,労働者性が消極
   的に解されることとなります。
   ◯自己の才覚で利得する機会
    ・契約上だけでなく実態上も,独自に営業活動を行
     うことが可能である等,自己の判断で損益を変動
     させる余地が広範にある
   ◯業務における損益の負担
    ・相手方から受託している業務で想定外の利益や損
     失が発生した場合に,相手方ではなく労務提供者
     自身に帰属する
   ◯他人労働力の利用可能性
    ・労務供給者が他人を利用している
    ・契約上だけでなく実態上も相手方から受託した業
     務を他人に代行させることに制約がない
   ◯他人労働力の利用の実態
    ・現実に,相手方から受託した業務を他人に代行さ
     せる者が存在する
   ◯他の主たる事業の有無
    ・相手方から受託する事業以外に主たる事業を行っ
     ている
   ◯機材,材料の負担
    ・労務提供者側が,一定規模の設備,資金等を保有
     している
    ・業務に必要な機材,交通費,保険料,修理代など
     の経費を,実態として労務供給者が負担している

 

4.2つの最高裁判決

 こうした中,昨年4月,労組法上の労働者性について,2つの最高裁判例が出されました。
 1つ目は,新国立劇場合唱団事件(最判平23年4月12日)です。本件は,X財団がA組合に加入している合唱団員1名について,次期シーズンの合唱団として不合格としたことから,A組合がX財団に団体交渉を申し入れたところ,X財団が拒否したため,これが団体拒否の不当労働行為にあたるか否かが争われたものです。
 2つ目は,INAXメンテナンス事件(最判平23年4月12日)です。本件は,受託設備機器の修理補修等を業とするX社が,修理補修等の業務の委託を受けて当該業務に従事する者(システムエンジニア以下「CE」)の加盟するB組合から,労働条件の変更等を議題とする団交申し入れを受けたが,これを拒否したため,団交拒否の不当労働行為にあたるか否かが争われたものです。
 両判決では,原審(東京高裁)が否定した合唱団員とCEの労組法上の労働者性がいずれも肯定されました。両判決は,一般論としての規範は定立していませんが,上記の判断要素を用いて労働者性を判断しています。
 ここでは細かい説明は割愛しますが,各要素の判断において,当事者の認識や実態として,契約内容の交渉の余地があったか,個別の業務依頼に応ずべき関係にあったか等,契約書の記載や法的義務の存否よりも当事者の認識や契約の運用や就労の実態を重視する姿勢を打ち出していることに留意する必要があります。

 

5.むすびに

 以上,労組法上の労働者概念についてとりあげました。最高裁の判断が示されたことから,今後は上記判断枠組みに沿って判断されることとなります。もっとも,具体的な事案においては,いかなる場合に労組法上の労働者に該当するかは,未だ明確とはいえず,今後の事案の集積を待たねばならないところです。最高裁の判断枠組みを念頭に置きつつ,各要素に該当する事情が存在しないか注意を払うとともに,場合によっては,早期に専門家に相談することが大切でしょう。

 

弁護士 久保 豊年

2012年12月28日

中小企業と独占禁止法

 

 事業者が市場の独占やカルテルなどを行うことにより、市場の競争を制限・阻害することを防止し、公正かつ自由な競争を促進するために制定されたのが「独占禁止法」(私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律)です。その独占禁止法の補完法として、下請法(下請代金支払遅延等防止法)、景表法(不当景品類及び不当表示防止法)があります。 

 独占禁止法は、カルテルや談合、企業の合併等を取り扱っているため、大企業にしか関係のなさそうな法律に思えますが、中小企業においても全く無関係ではありません。 

 不公正な取引方法とは、行為の内容から大きく3つに分類されます。
 1.自由な競争が制限されるおそれがあるような行為で、
   取引拒絶、差別価格、不当廉売、再販売価格拘束な
   ど。
 2.競争手段そのものが公正とは言えないもので、ぎまん
   的な方法や不当な利益による顧客誘引、抱き合わせ販
   売など。
 3.自由な競争の基盤を侵害するおそれがあるような行為
   で、大企業がその優越した地位を利用し、取引の相手
   方に無理な要求を押しつける行為。 

 これらの中には、明白に不公正な取引方法であるということがわかるものもありますが、行為の形態から直ちに違法となるのではなく、それが不当な場合(公正な競争を阻害するおそれがあるとき)に違法となるというものがほとんどです。
 具体的な事例で考えてみましょう。

 

事例1

 A社が競争相手B社の取引先に対してのみ、廉売(安売り)をしたり、B社と競合する地域でのみ過剰なダンピングを行うこと
 ★ 取引先や販売地域によって、商品又はサービスの対価
  に不当に著しい差をつけたり、その他の取引条件で不当
  に差別することは、不公正な取引方法(差別対価・取引
  条件等の差別取扱い)として禁止されています。「不当
  に」というのは、価格などに差を設けて積極的に競争者
  を市場から排除したり、取引の相手方を不利な立場に追
  いやったりする目的あるいは効果を伴うような場合をい
  います。ちなみに不当な安売りに該当する目安は、一般
  的には仕入価格(商品の仕入れに際しての実質的な支払
  額をいい値引きやリベートなどを差し引いたもの)を下
  回る価格とされます。

 一方、次のような場合はコスト割れでも正当な理由があるため不当廉売には該当しないと考えられています。
 ・ 生鮮食料品など品質が急速に低下するため行うタイム
  サービスの安売り
 ・ ○○バーゲンなどシーズンを過ぎてから在庫処分とし
  て売られるもの
 ・ きず物のように瑕疵がある商品につき安売りする場合

 

事例2

 人気商品と売れ残りの不人気商品をセット販売すること
 ★ ある商品を販売する際に、他の商品も同時に購入させ
  る抱き合わせ販売は、取引の強制であり、不当に行われ
  る場合には、不公正な取引方法(抱き合わせ販売)とし
  て禁止されています。問題となるのは、取引の相手方に
  対して不当に不利益を与えたり、競争者を市場から排除
  するおそれが認められる場合です。
 ・ 人気ゲームソフトの販売に併せて売れないゲームソフ
  トとパック販売した
 ・ パソコンの中にソフトを予めインストールして販売

 

事例3

 ホテル、旅館などからのディナーショーチケットやクリスマスケーキの商品購入の要請
 ★ 自己の取引上の地位が相手方に優越している一方の当
  事者が、取引の相手方に対し、その地位を利用して、正
  常な商習慣に照らして不当に不利益を与えることは、不
  公正な取引方法(優越的地位の濫用)として禁止されて
  います。例えば量販店や百貨店がその納入業者に対して
  行う押しつけ販売や、納入業者からの協賛金や従業員の
  派遣を強要することも該当します。取引先に対する支払
  遅延や不当減額などは下請法にも規定されています。 

 中小企業においては「する側・される側」の双方の立場に成りうること、そして該当するかどうかの判断が難しいケースも多いので、社内で検証し疑問に思われる場合は弁護士に確認することをお勧めします。

(参照/公正取引委員会 http://www.jftc.go.jp/

 

FP支援室

 

2012年12月28日

改正育児介護休業法が全面施行されます

 

 平成24年7月から改正育児・介護休業法が全面施行されます(従業員数100人以下の事業主)。育児・介護休業法は平成21年に改正されましたが、その中で従業員数100人以下の事業主におきましては、下記の制度の適用が猶予されていました。しかし、その猶予措置が切れ、平成24年7月1日よりすべての事業主に適用されるようになります。

 

1.短時間勤務制度(所定労働時間の短縮措置) 

(1)事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員につい
  て、本人が希望すれば利用することができる「短時間勤
  務制度」を設けなければなりません。
(2)「短時間勤務制度」は、就業規則に規定するなど、制
  度化する必要があり、制度化しないで運用だけしている
  のでは不十分です。 
(3)「短時間勤務制度」は、1日の所定労働時間を原則と
  して6時間(5時間45分から6時間まで)とする措置
  を含めなければなりません。

 対象となる従業員はいずれにも該当する男女従業員です。

 ① 3歳未満の子を養育する従業員であって、短時間勤務
  をする期間に育児休業をしていないこと
 ② 日々雇用される労働者でないこと
 ③ 1日の所定労働時間が6時間以下でないこと
 ④ 労使協定により適用除外とされた従業員でないこと
  (下記参照) 

<労使協定により適用を除外することができる従業員> 
 ア.当該事業主に引き続き雇用された期間が1年に満たな
  い従業員 
 イ.1週間の所定労働日数が2日以下の従業員
 ウ.業務の性質又は業務の実施体制に照らして、短時間勤
  務制度を講じることが困難と認められる業務に従事する
  従業員  

 上記ウに該当する従業員を適用除外とした場合は、事業主は代替措置として以下のいずれかの制度を講じなければなりません。 
(A)育児休業に関する制度に準ずる制度 
(B)フレックスタイム制度 
(C)始業・終業時間の繰上げ・繰下げ(時差出勤の制度) 
(D)従業員の3歳未満の子に係る保育施設の設置運営
   その他これに準ずる便宜の供与

 

2.所定外労働の制限 

(1)事業主は、3歳に満たない子を養育する従業員から申
  し出があった場合、所定時間を超えて労働させてはなり
  ません。 

(2)所定外労働の制限の申し出は、1回につき、1カ月以
  上1年以内の期間において、開始予定日と終了予定日を
  明らかにして、開始予定日の1カ月前までに事業主に申
  し出る必要があります。
   また、この申し出は何回でも可能です。  

 対象となる従業員は原則として3歳に満たない子を養育する全ての男女従業員(日々雇用者を除く)です。ただし、勤続年数1年未満の従業員と週の所定労働日数が2日以下の従業員については、労使協定がある場合には対象となりません。

 

3.介護休暇

 要介護状態(負傷・疾病または身体上・精神上の障害により、2週間以上の期間にわたって常時介護を必要とする状態)にある家族の介護や世話を行う従業員は、事業主に申し出ることによって、介護する家族が1人であれば年に5日、2人以上であれば年に10日まで、1日単位で休暇を取得することができます。
 対象となる従業員は原則として対象家族の介護、その他の世話をする全ての男女従業員(日々雇用者を除く)です。ただし、勤続年数6カ月年未満の従業員と週の所定労働日数が2日以下の従業員については、労使協定がある場合には対象となりません。

 

社会保険労務士 鈴木 茂喜

2012年12月28日

労働者派遣法の改正について

 労働者派遣法は,労働者派遣事業の適正な運営と派遣スタッフの就業条件の整備、雇用の安定、福祉の増進などを守るために,昭和60年に制定され,それ以来,幾度もの改正を経て来ました。
 今般,平成24年3月28日に,労働者派遣法の改正法(以下「平成24年改正法」といいます)が成立しました。この平成24年改正法は,派遣労働の規制強化を図るべくなされたものですが,政府案に対して与野党3党が大幅な修正をすることを合意し,政府案の眼目であった点が削除されるなどしており,「抜本的な改正には程遠い」(日本弁護士連合会の平成24年3月28日付け会長声明)との評価もありますが,その内容を確認しておきましょう。

 

1.事業規則の強化

① 日雇労働者についての労働者派遣の禁止
  日雇派遣(日々又は30日以内の期間を定めて雇用する
 労働者派遣)の原則禁止(ただし,適正な雇用管理に支障
 を及ぼすおそれがないと認められる業務の場合、雇用機会
 の確保が特に困難な場合等は例外)
  ※ 政府案では,禁止される日雇派遣の範囲を「2ヵ月
   以内」としていましたが,「30日以内」に縮小修正
   されました。

② 関係派遣先への労働者派遣の制限派遣元事業主は、厚生
  労働省令で定める特殊の関係のある者(グループ企業)
 への労働者派遣割合を80%以下としなければならない。

③ 離職した労働者についての労働者派遣の禁止
  離職した労働者を離職後1年以内に派遣労働者として受
 け入れることを禁止した。

 

2.派遣労働者の無期雇用化や待遇の改善

① 有期雇用派遣労働者等の雇用の安定等
  派遣元事業主に、一定の有期雇用の派遣労働者につき、
 無期雇用への転換推進措置を努力義務化した。

② 均衡を考慮した待遇の確保
  派遣元事業主は,派遣労働者の賃金等の決定にあたり、
 同種の業務に従事する派遣先の労働者との均衡を考慮しな
 ければならない。

③ 労働者派遣事業の業務の内容に係る情報提供義務の創設
  派遣元事業主は,派遣料金と派遣労働者の賃金の差額の
 遣料金に占める割合(いわゆるマージン率)などの情報公
 開を義務化

④ 労働者派遣料金額の明示
  派遣元事業主は,雇入れ等の際に、派遣労働者に対し
 て、一人当たりの派遣料金の額を説明しなければならな
 い。

⑤ 労働者派遣契約の解除に当たって講ずべき措置
  労働者派遣契約の解除の際の、派遣元及び派遣先におけ
 る派遣労働者の新たな就業機会の確保、休業手当等の支払
 いに要する費用負担等の措置を義務化

 

3.違法派遣に対する迅速・的確な対処

① 労働契約申込みみなし制度(直接雇用申込みみなし制
 度)等の創設
  違法派遣の場合、派遣先が違法であることを知りながら
 派遣労働者を受け入れている場合には、派遣先が派遣労働
 者に対して労働契約を申し込んだものとみなす。

② 一般労働者派遣事業の許可及び特定労働者派遣事業の開
 始の欠格事由の追加
  処分逃れを防止するため労働者派遣事業の許可等の欠格
 事由を整備

 

4.その他 

 正式名称が,「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の就業条件の整備等に関する法律」から,「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」に変更されました。
 また,法の目的規定(1条)を,「派遣労働者の就業に関する条件の整備等を図り」から,「派遣労働者の保護等を図り」に変更されました。
 これらにより,取締法規としての性質から労働者保護法への転換が図られたといえます。

 

5.施行期日

 平成24年改正法は,公布の日(平成24年4月6日)から6か月以内の政令で定める日に施行されます。
 ただし,直接雇用申込みみなし制度(前記3①)の施行は,平成24年改正法の施行から3年経過後となります(これのみ3年の猶予期間を設ける修正がなされました)。

 

6.検討項目(平成24年改正法で削除・修正されたもの)

 政府案の眼目であった「登録型派遣の原則禁止規定」と「製造業務への派遣の原則禁止規定」は,与野党3党修正により削除されました。
 「登録型派遣の在り方」「製造業務派遣の在り方」「特定労働者派遣事業の在り方」については,検討事項とされました。

 

弁護士 芥川 宏

2012年12月12日

固定資産税評価

1.はじめに

 本年度は3年ごとの固定資産税の評価替えの年にあたります。固定資産税の評価額は国が定めた「固定資産評価基準」に基づいて市町村が決定します。毎年評価替えを行うことが理想的ではありますが膨大な量の評価を毎年行うことは事実上、不可能であること等から、土地と家屋については原則として3年間評価額を据え置く制度がとられています。たまたまですが、和暦の3の倍数の年、平成24年、平成27年、平成30年…が評価替えの実施される年にあたります。

 

2.宅地の固定資産税評価

 宅地についてその特徴的な事柄等を掲げれば次のとおりです。

 ① 地上に建物が建っていたり貸地であっても、建物等
  の定着物がなく、権利関係もないことを前提として評
  価しています(更地としての評価)。
 ② 平成6年の評価替えから地価公示価格の7割を目途
  に均衡化・適正化が図られています(これに対して、
  相続税の路線価は地価公示価格の8割を目途として
  います)。
 ③ 対象地の間口・奥行等の状態に係る補正も行ってい
  ます(これに対して、相続税の路線価は補正を行う前
  の一般的な評価を前提としています)。
 ④ 3年に1回の評価替え(3年間据え置き)ですが、
  この間でも地価の下落が認められる場合には下落の修
  正が行われる可能性があります。逆に上昇した場合に
  は上昇の修正は行われません(相続税の路線価は毎年
  評価替えが行われます)。

 

3.建物の固定資産税評価

 基本的には、再建築費を基準として経過年数に応じた減価を考慮してその家屋の価格を求めます。まれに、建物がかなり古くなっているのに評価額が下がらないといった趣旨のご質問をお受けすることがありますが、固定資産税評価の場合、減価の下限(最終残価率)が2割となっていることから、下限にまで達した家屋(木造戸建で25年等)は、何年たってもこれ以上減価率は下がりません。
 なお、相続税の評価は、固定資産税評価額に対して1.0倍して評価します。ですから、同額となります。

 

4.マンションの固定資産税評価

 通常、マンションの購入時には、階層(最上階か1階か等)、間取り、日当たり等に応じて、同じマンション内でも各室ごとに値段が異なりますが、固定資産税の評価では、同じマンション内であれば単位面積当たりの評価額は同一となっています。

 

5.最後に

 固定資産税の評価額を基に負担軽減措置等を行って課税の基礎となる課税標準額が算出されますが、実務上、「評価額」と「課税標準額」が混同して用いられることが多くあります。注意が必要です。

 

 不動産鑑定士、中小企業診断士
小川 和夫

2012年12月12日

マイナンバー法案の閣議決定

 政府は2月14日、国民一人ひとりに番号を付け、納税記録や社会保障情報を管理する共通番号「マイナンバー」制度を導入するための「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律案」(通称「マイナンバー法案」)を閣議決定しました。また、マイナンバー法の施行に伴い関係法律の規定を整備する「行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律の施行に伴う関係法律の整備等に関する法律案」、新たに地方公共団体が共同運営組織を設置するための「地方共同団体情報システム機構法案」の関連法案も併せて閣議決定され、これらマイナンバー関連法案3本が同日中に国会へ提出されました。マイナンバー制度では、平成26年6月に番号を交付し、平成27年1月から、税、社会保障、防災分野からの順次利用開始を目指しています。

 マイナンバー制度は、所得や社会保障の受給実態を把握し、個人や世帯の状況に応じた社会保障給付を実現することが目的です。共通番号を設けることで、個人の所得をより正確に把握し、徴税の公平化や低所得者に絞ったきめ細かい社会保障給付などが可能になると政府はみています。

 政府は、社会保障と税の一体改革に関連し、番号制度を消費税増税に伴う低所得者対策に活用することも検討しています。マイナンバー制度を使って所得をより正確に把握することで、低所得者に所得税を払い戻したり、給付金を支給したりする「給付付き税額控除」の導入につなげたい考えです。

 個人番号については、市町村長が法定受託事務として住民票コードを変換した個人番号を定めて書面で本人に通知します。市町村長は住民からの申請により顔写真付きの個人番号カードを交付します。中長期在留者や特別永住者等の外国人住民も対象となります。これに伴い個人情報の保護に配慮して、政府から独立した第三者機関「個人番号情報保護委員会」を内閣府に設置し、立ち入り検査などを行う強い権限を持たせるほか、情報漏えいした行政職員らに最高で4年以下の懲役、または200万円以下の罰金を科すとしています。

 一方、マイナンバー制度においては、個人だけでなく法人に対しても法人番号が付番されます。法人番号については、国の機関、地方公共団体、法人等を対象として、法人等の商号、又は名称、本店又は主たる事務所の所在地、法人番号を公表するとしており、民間で自由に利用することも可能とします。行政機関の長等が国税庁長官に対し、法人番号等の情報提供を求めることができる措置も盛り込まれました。ただし、人格のない社団等については、あらかじめ代表者・管理人の同意を得なければならないとしています。  

 マイナンバー法案の施行に向けては、個人番号や法人番号の導入のための関係法律の規定を整備するため、利用範囲を定めた所得税法や国税通則法、租税特別措置法、地方税法、財務省設置法など合計27法律の一部改正等の措置をまとめた整備法案も国会へ提出されました。これら整備法案に盛り込まれた税法関連の一部改正項目は以下のとおりです。

<地方税法>(整備法案5条関係)
 321条の7の3  年金保険者による市町村に対する通知
<租税特別措置法>(整備法案8、9条関係)
 4条  障害者等の少額公債の利子の非課税
 4条の5  特定寄附信託の利子所得の非課税
 37条の11の3  特定口座内保管上場株式等の譲渡等に係る  所得計算等の特例
 37条の14  非課税口座内の少額上場株式等に係る譲渡  所得等の非課税
 40条  国等に対して財産を寄附した場合の譲渡所  得等の非課税
 41条の12  償還差益等に係る分離課税等
<国税通則法>(整備法案12、13条関係)
 124条  書類提出者の氏名及び住所の記載等
<所得税法>
 10条  障害者等の少額預金の利子所得等の非課税
 57条  事業に専従する親族がある場合の必要経費  の特例等
 194条  給与所得者の扶養控除等申告書
 195条  従たる給与についての扶養控除等申告書
 195条の2  給与所得者の配偶者特別控除申告書
 198条  給与所得者の源泉徴収に関する申告書の提  出時期等の特例
 203条の5  公的年金等の受給者の扶養親族等申告書
 224条  利子、配当、償還金等の受領者の告知
 224条の3  株式等の譲渡の対価の受領者等の告知
 224条の4  信託受益権の譲渡の対価の受領者の告知
 224条の5  先物取引の差金等決済をする者の告知
 224条の6  金地金等に譲渡の対価の受領者の告知
<内国税の適正な課税の確保を図るための国外送金等に係る調書の提出等に関する法律>(整備法案25、26条関係)
 2条  定義
 3条  国外送金等をする者の告知書の提出等
 5条  国外財産調書の提出

  ただ、内閣府が実施した世論調査では、8割以上が制度の内容を「知らない」と答え、周知の低さが浮き彫りになっています。

 当初は、①社会保障と②税金、③防災分野から順次利用が開始され、その後5年をめどに、利用範囲を拡大する計画です。いずれは預貯金や株式の保有状況、さらには不動産の取得や譲渡などに関する情報が、完全に把握される時期がやってきます。収入等がしっかり把握されますので、所得の過少申告や扶養控除のチェックを効率的に行うことができますし、これにより社会保障の不正受給や税の不正還付等を防止することにもなりますが、がんじがらめの状態です。気をつけましょう。

【税務通信「2012年2月20日3201号」参考】

税理士 光廣 昌史

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