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DEPS NEWS 2012年10月号
2013年7月31日

著作権法の改正について

 

 「著作権法の一部を改正する法律」が、平成24年6月20日に成立し、その一部が平成24年10月1日に施行されました。
 著作権法については毎年のように改正が行われていますが、今回の改正は「違法ダウンロードの刑事罰化」や「暗号化されたDVDのコピー禁止」といった、私たちにとっても身近な問題を含んでいます。そこで、今回の改正内容の中から、特に注目すべき項目について説明します。

 

1.私的使用目的の複製

 音楽や映像などの著作物は、原則として権利者の許諾なく複製(コピー)することはできませんが、その例外として、個人的に又は家庭内その他これに準ずる限られた範囲内において使用する場合については、複製することが許されています(著作権法第30条)。これを「私的使用目的の複製」といいます。
 例えば、テレビ番組を録画機器を用いて録画する行為や、レンタルしたCDを別の媒体にダビングする行為などは、個人的に又は家庭内という限られた範囲内で使用するものである限り、この例外規定により許されるわけです。

 

2.私的使用目的の複製の問題点

 しかしながら、近年のインターネットの普及、大容量化により、音楽や映像作品が携帯電話等に向けてダウンロード配信されるケースが多くなってきました。このようなダウンロード配信の中には、正規に配信されたものではなく違法配信によるものも多く、既に違法配信サイトやファイル交換ソフト等の違法配信による市場が、正規の配信市場を上回る膨大な規模になっていると考えられています。このような違法配信に対しては、権利者団体等により違法配信を行っている者に対して警告等の対処がなされていますが、量が多く技術的にも限界があります。
 ところで、ダウンロードして複製する個人側の行為は、違法配信サイトからのものであっても、上記の私的使用目的の複製であれば許されるのでしょうか。この点について、平成21年の著作権法改正では、違法配信する側だけではなく、違法配信サイトから音楽や映像をダウンロードして複製する個人側の行為についても違法とする改正がなされました。ただし、違法ではあっても罰則規定がなかったため、その実効性に疑問が持たれており、依然として違法な音楽等の流通量は減少せず、コンテンツ産業に大きな被害が生じていると考えられています。
 また、通常DVDには暗号化されたコンテンツが記録されており、自分で購入・レンタルしたDVDであっても、そのままではコピーすることができないようになっています。しかし、現在では数多くの暗号化解除プログラムが出回っており、暗号化されたコンテンツを復元しDVDをコピーすること(リッピング)が可能となっています。従来から、一定の技術的保護手段(信号付加方式)を回避してコピーすることは違法とされていますが、DVDの暗号化技術は、違法となる技術的保護手段に含まれていませんでした。そのため、著作権者等の利益が不当に害されているとの指摘がありました。

 

3.法改正の内容

 以下に、今回の法改正の中から「違法ダウンロードの刑事罰化」と「暗号化されたDVDのコピー禁止」について詳細を説明します。なお、著作権侵害となるかどうかについては、その行為が「適法な行為」、「違法であるが刑事罰のない行為」、「違法であって刑事罰のある行為」のいずれに該当するのかを検討する必要があります。刑事罰には該当しなくても、違法である場合がありますので、その点にご注意ください。

(1)違法ダウンロードの刑事罰化
   従来から違法であった、違法配信サイトから音楽や映
  像をダウンロードして複製する個人側の行為について、
  罰則が規定されました。すなわち、以下の行為は、私的
  使用目的の複製であっても例外範囲とはならず、違法と
  なるだけでなく刑事罰の対象となります。

 (対象となる行為)
   私的使用の目的をもって、有償著作物等の著作権等を
   侵害する自動公衆送信を受信して行うデジタル方式の
   録音又は録画を、自らその事実を知りながら行って著
   作権等を侵害する行為

 (罰則)
   2年以下の懲役若しくは200万円以下の罰金、又は
   これの併科

 (留意点)
  ①有償著作物等
   ・CDやDVDとして販売されていたり、有料でイン
    ターネット配信されているような音楽作品や映画作
    品が挙げられます。
   ・ドラマ等のテレビ番組については、DVDとして販
    売されていたり、オンデマンド放送のように有料で
    インターネット配信されていたりする作品の場合
    は、有償著作物等に当たりますが、単にテレビで放
    送されただけで、有償で提供・提示されていない番
    組は、有償著作物等には当たりません。ただし、違
    法にインターネット配信されているテレビ番組をダ
    ウンロードすることは、刑事罰の対象ではないもの
    の違法になります。

  ②自動公衆送信
   ・自動公衆送信とは、「公衆送信(公衆によって直接
    受信されることを目的として送信を行うこと)のう
    ち、公衆からの求めに応じて自動的に行うもの」で
    す。
   ・友人が送信したメールは自動公衆送信に該当しませ
    んので、メールに添付されたファイルをダウンロー
    ドする行為は含まれません。(ただし、個人的に又
    は家庭内という範囲を超えると判断されて、違法と
    なる可能性はあります。)

  ③録音又は録画
   ・違法に配信されている音楽や映像を見たり聞いたり
    するだけでは、録音又は録画が伴いませんので、違
    法ではありません。
   ・「You Tube」などの動画投稿サイトで違法投
    稿された動画を閲覧する場合(ストリーミング)
    は、視聴するデータがコンピュータ内部に一時的に
    保存されることがあります。このような情報の一時
    的な蓄積(キャッシュ)は、違法サイトからダウン
    ロードして複製する行為とも考えられますが、この
    点については、「情報処理を円滑かつ効率的に行う
    ために必要と認められる限度」として、別の例外規
    定(著作権法第47条の8)により違法とはされて
    おりません。ただし、キャッシュによる一時的な蓄
    積ではなく、別の記録媒体に保存したりするような
    場合は、違法となり罰せられます。
   ・画像ファイルのダウンロードやテキストのコピー&
    ペーストは、録音又は録画に該当せず、私的使用に
    留まる限りは違法ではなく、刑事罰の対象になりま
    せん。

  ④その事実を知りながら
   ・有償著作物であること、及び違法な配信であること
    の両方を知っていた場合であるので、有償著作物で
    あることを知らなかった場合や、違法サイトと知ら
    ずにダウンロードして複製する行為は除外されてい
    ます。
   ・そのダウンロードサイトが違法かどうかは判断しに
    くいケースも多いものと考えられますが、コンテン
    ツを適法に配信しているサービスに対し、一般社団
    法人日本レコード協会が「エルマーク」と呼ぶ認証
    のロゴを付与しており、一応の目安となります。
    (ただし、「エルマーク」の表示されていないから
    といって、全て違法配信ということではありませ
    ん。)

  ⑤親告罪
   ・親告罪ですので、コンテンツ配信業者など被害を受
    けた側の告訴が必要です。

(2)暗号化されたDVDのコピー禁止
   従来は違法とはされていなかった、暗号化されたコン
  テンツを復元しDVDをコピーする行為(リッピング)
  が違法となりました。ただし、罰則は規定されていませ
  ん。すなわち、以下の行為は、私的使用目的の複製であ
  っても例外範囲とはならず、違法となります。

 (対象となる行為)
   技術的保護手段(暗号化)により保護されたコンテン
   ツを、技術的保護手段の回避により複製する行為

 (罰則)
   なし

 (留意点)
  ①技術的保護手段
   ・DVDに用いられる「CSS」などの暗号化技術に
    よるコピー防止機能をいいます。

  ②技術的保護手段の回避
   ・暗号化技術によるコピー防止機能を回避する装置や
    プログラムを用いて行うものです。

  ③複製
   ・購入・レンタルした映画などのDVDを空のDVD
    にコピーしたり、スマートフォンやタブレット端末
    に取り込む行為をいいます。
   ・一般的に音楽CDにはコピー防止機能が施されてい
    ませんので、個人的な利用の目的であれば、音楽C
    Dを自分のパソコンや携帯音楽プレーヤーなどに複
    製しても、違法ではありません。
   ・DVDに限らず、適法なダウンロード配信によりパ
    ソコンに保存した映像を別のタブレット端末等にコ
    ピーする場合であっても、技術的保護手段を回避し
    て行うものであれば違法と考えられます。

  ④技術的保護手段を回避する装置やプログラムの譲渡等
   ・技術的保護手段を回避する装置やプログラムを公衆
    に譲渡等した者や、業として公衆からの求めに応じ
    て技術的保護手段の回避を行った者には刑事罰が科
    せられます。

 

4.その他

・今回の法改正のうち、「違法ダウンロードの刑事罰化」に
 ついては、国会の審議過程において、内閣提出法案に対
 し、刑事罰化に関する議員修正案が提出され、それからわ
 ずか5日で可決成立されたものであり、審議期間の短さ
 や、権利者団体側の意向ばかり反映されているなどの問題
 点が指摘されています。また、インターネットの利用行為
 が不当に制限されるとの指摘もあります。
・そのため、違法ダウンロードの刑事罰化に係る規定の運用
 に当たっては、政府及び関係者は、インターネットの利用
 行為が不当に制限されることのないように配慮しなければ
 ならないこととされています。
・また現在は親告罪ですが、今後TPPなどの交渉過程で非
 親告罪化について協議される可能性があります。
・さらに、捜査機関によるパソコンやスマートフォンの押収
 など、捜査権の濫用に繋がるような事態も懸念されます。
・従って、警察は捜査権の濫用につながらないように配慮す
 るとともに、関係者である権利者団体には、仮に告訴を行
 うのであれば、事前に然るべき警告を行うなどの配慮が求
 められます。
・一方、今回の法改正をきっかけに、コンテンツ配信会社の
 中には、コピー制限を解除し、メーカーの違う機器への自
 由な転送を許可することで、コンテンツ配信市場の拡大を
 狙う企業も現れてきています。

 

弁理士 信末 孝之

 

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